「Google DriveにCSVファイルは保存したけれど、Google Colabからどうやって読み込めばいいのか全くわからない…」「どこを見ればいいの?」「どんなコードを書けばいいの?」 そんな悩みを持つ初心者の方へ向けて、本記事では、Google Drive上のCSVファイルをColabで扱う最もシンプルかつ確実な方法を、画像付きでわかりやすく解説します。
データ分析をもっとスムーズに進めるために、Google ColabとGoogle Driveを連携させて、CSVファイルの取り扱いを効率化しましょう。クラウド環境のColabを最大限に活用するには、Driveとのスムーズな連携が欠かせません。
Google Driveにデータを保存しておけば、PCの環境に左右されずにColabから直接アクセス可能です。これにより、データの管理を一元化でき、分析作業を格段に効率化できます。
ColabとDriveの連携に不安がある方も、この記事を読みながら手順通りに進めれば大丈夫です。ぜひ一緒に進めていきましょう。
Google Colab で Drive の CSV を扱うときにできること
この記事では、Google ColabとGoogle Driveを連携させ、以下の方法を実際のコードと共にご紹介します。
- Google DriveをColabに接続する方法
- Google Drive上のCSVファイルをColabで読み込む方法
- Colabで作成したデータをGoogle Driveに保存する方法
前回の記事(【第1回】【初心者向け】Pythonの実行環境を比較!Colab・Anaconda・インストールの違いと使い方)でGoogle Colabの基本的な使い方はわかったと思います。今回は、データ分析でよく使うGoogle Driveとの連携に焦点を当て、快適なデータ分析環境の構築を目指しましょう。
例として、Google Drive(マイドライブ)に保存した height_weight.csv というCSVファイルをColabから読み込むケースを想定して解説を進めます。事前に、お手持ちのCSVファイルをGoogle Driveのマイドライブにドラッグ&ドロップして保存しておいてください。

ステップ①|drive.mount() で Google Drive を Colab に接続
まず最初に、ColabからGoogle Driveにアクセスできるように接続設定を行います。以下のコードを実行(Shift + Enter)してください。
from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')


ColabからGoogle Drive内のファイルにアクセスできるようになります。「このノートブックにGoogleドライブのファイルへのアクセスを許可しますか?」と表示されたら、「Googleドライブに接続」をクリックしてください。その後、アカウントの選択などが表示されますが、指示通りに進めてください。認証が完了すると、「Mounted at /content/drive」のようなメッセージが表示され、Google Drive が Colab にマウントされた状態になります。
本当にGoogle Driveが見えるようになったか、確認してみましょう!
Colabの画面の左側にある、フォルダの形をしたアイコンをクリックしてみてください。
クリックすると、左側にファイルの一覧が表示されます。その中に、「drive」というフォルダが見えれば成功です!

ステップ②|pd.read_csv() で Drive 上の CSV を読み込む
google DriveをColabに接続できたので、次に、CSVファイルをColabに読み込んで、Pythonで使えるようにしましょう。
CSVファイルを読み込むには、「pandas(パンダス)」という、データ分析でよく使われる便利なツール(ライブラリ)を使います。
pandasを使えるようにするコード
import pandas as pd
上のコードは、「pandasというツールを使えるようにして、『pd』という短い名前で呼べるようにしますよ」という意味です。データ分析では、pdという名前でpandasを使うのがお決まりなので覚えておくと便利です。
CSV ファイルパスの確認方法
次に、Colabに「どのCSVファイルを読み込みたいの?」というのを教えてあげる必要があります。そのファイルの場所を示すのが「ファイルパス」です。

ファイルパスは、Google Driveがマウントされている場所(/content/drive/MyDrive/
)から始めて、CSVファイルまでのフォルダの名前とファイル名をスラッシュ(/)で繋げて書きます。
例えば、あなたのGoogle Driveの「マイドライブ」の中の「データ」というフォルダに、「height_weight.csv」というCSVファイルが保存されているとします。
その場合のファイルパスは、
/content/drive/MyDrive/height_weight.csv
となります。
💡 ファイルパスを正確に入力するには
一番簡単な方法は、Colabのファイル一覧からパスをコピーすることです。
- Colabの左側のファイルアイコンをクリックして、Google Driveのフォルダ(drive → MyDrive)を開きます。
- 読み込みたいCSVファイル(ここでは height_weight.csv)の上で右クリックします。
- 表示されるメニューの中から「パスをコピー」を選びます。
CSVファイルを読み込むコード
ファイルパスが分かったら、いよいよコードで読み込みます。
例として、上で説明したファイルパスを使います。あなたのファイルパスに置き換えてください。
pandasを使ってCSVファイルを読み込み、’df’という名前にします
df = pd.read_csv('/content/drive/MyDrive/height_weight.csv')
上のコードは、「指定した場所にあるCSVファイルを読み込んで、その中身を『df』(データフレーム)という名前で使えるようにします」という意味です。ちなみに、height_weight.csvは、名前・身長(cm)・体重(kg)の3列のデータです。
【失敗談①】私自身、最初はファイルパスを正しく指定できず、何度も”No such file or directory”というエラーに悩まされました。Google Drive上で右クリックして「パスをコピー」することで、確実に正しいパスを貼り付けられると気付き、エラーが解決しました。
【失敗談②】パスの最初と最後は「”」または「””」を書く必要があります。これを忘れて読み込めないということが何度もありました。
▶️ read_csvの公式ドキュメントも参考にしてください:
pandas read_csv Documentation
読み込みがうまくいったか確認してみよう!
df
Name | Height(cm) | Weight(kg) | |
---|---|---|---|
0 | NQjXU | 152 | 53 |
1 | rcXej | 165 | 51 |
2 | FMtIp | 188 | 56 |
3 | gymZI | 183 | 64 |
4 | BqzCl | 150 | 81 |
… | … | … | … |
95 | mFXFW | 150 | 51 |
96 | iZnKV | 153 | 48 |
97 | khNpD | 164 | 80 |
98 | SYbsz | 162 | 76 |
99 | dETwq | 176 | 79 |
補足①:df.head()
df.head():読み込んだデータ(df)の最初の数行が表示されます。これで、データが正しく読み込まれているか確認できます。
df.head()
Name | Height(cm) | Weight(kg) | |
---|---|---|---|
0 | NQjXU | 152 | 53 |
1 | rcXej | 165 | 51 |
2 | FMtIp | 188 | 56 |
3 | gymZI | 183 | 64 |
4 | BqzCl | 150 | 81 |
詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください。
【第4回】【初心者向け】Pandasのhead関数の使い方とDataFrameの先頭行を表示する具体的手順を解説
補足②:df.info(),df.describe()
df.info():読み込んだデータ(df)のデータの型や欠損値などの基本情報を表示したい場合
df.info()

df.describe():読み込んだデータ(df)のデータの統計量(平均値、最大値など)を表示したい場合
df.describe()
Height(cm) | Weight(kg) | |
---|---|---|
count | 100.000000 | 100.000000 |
mean | 173.110000 | 70.960000 |
std | 16.084936 | 16.403941 |
min | 150.000000 | 45.000000 |
25% | 160.000000 | 58.000000 |
50% | 171.500000 | 69.000000 |
75% | 188.000000 | 85.250000 |
max | 200.000000 | 100.000000 |
詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください。
【第5回】【初心者向け】Pandasのinfo()・describe()でデータ構造と統計量をやさしく理解する方法
よくあるエラーと対処法(FileNotFound ほか)
CSVファイルの読み込みでは、いくつか『あるある』なエラーがあります。エラーが出ても大丈夫!落ち着いて確認してみましょう。
エラー1:「FileNotFoundError: [Errno 2] No such file or directory: ‘…’」
- どんなエラー?:指定した場所にファイルが見つからない、というエラーです。
- 原因は?:一番多い原因は、ファイルパスの間違いです。ファイル名の大文字・小文字が違う、フォルダ名が違う、スラッシュ(/)が足りない・多い、といったことが考えられます。Google DriveがColabにうまくマウントできていない場合にも起こります。
- どうすればいい?:
- ファイルパスをもう一度確認: Colabのファイルアイコンから「パスをコピー」機能を使って、正確なパスを貼り付け直してみてください。
- Google Driveのマウント確認: ステップ①のコードをもう一度実行して、マウントが成功しているか確認してみてください。
エラー2:読み込めたけど、文字が変になった!(文字化け)
- どんなエラー?:データは読み込めたみたいだけど、「????」や「???」のように文字が変になってしまっている状態です。
- 原因は?:CSVファイルの「文字コード」(文字のルールのようなもの)が、Colabが自動で判断したものと違う場合に起こります。
- どうすればいい?:
pd.read_csv()
にencoding
という設定を追加します。df = pd.read_csv(csv_file_path, encoding='utf-8')
まず最初にこれを試してみましょう- もしうまくいかなければ、
encoding='shift_jis'
やencoding='cp932'
など、他の文字コードを試してみてください。(特に日本のWindowsで作成したCSVファイルでよく使われます)
エラー3:データがぐちゃぐちゃになった!区切りが変…
- どんなエラー?:CSVファイルなのに、データがきちんと列に分かれずに、一つの列に全部入ってしまっているような状態です。
- 原因は?:CSVファイルは通常カンマ(,)で区切られていますが、中にはタブやセミコロン(;)など、カンマ以外の文字で区切られている場合があります。
pd.read_csv()
はデフォルトでカンマ区切りだと思っています。 - どうすればいい?:
pd.read_csv()
にdelimiter
またはsep
という設定を追加します。- 例えば、タブで区切られている場合は
df = pd.read_csv(csv_file_path, delimiter='\t')
- セミコロンで区切られている場合は
df = pd.read_csv(csv_file_path, delimiter=';')
- 例えば、タブで区切られている場合は
ステップ③|df.to_csv() で 編集結果を Drive に保存
colabでデータを分析したり、不要な行や列を削除したり、新しい計算結果を加えたり…といった加工をしたとします。(今回は例として、読み込んだそのままのデータを保存します)
加工したデータをCSVファイル(例:height_weight2.csv)としてGoogle Driveに保存するには、df.to_csv()
という機能を使います。
保存したい場所は、’/content/drive/MyDrive/’に保存する場合のコードは以下になります。
df.to_csv('/content/drive/MyDrive/height_weight2.csv',index=False)
上のコードは、「データフレーム(df)の中身を、指定したファイルパスにCSVファイルとして保存しますよ。その際に、左側のインデックスという番号は含めませんよ(index=False)」という意味です。
保存がうまくいったか確認してみよう!
指定した場所に新しいCSVファイルができているか、Google Driveの画面やColabのファイル一覧で確認してみてください。
保存時に注意しておきたいこと
ファイルパス: 読み込みと同じで、保存したい場所のファイルパスを正確に指定することが重要です。 ファイル名: すでに同じ名前のファイルがあると、新しいデータで上書きされてしまいます。大切なファイルの場合は、新しいファイル名で保存することをおすすめします。
index=Falseの指定
これをしないと、保存したCSVファイルの左端に連番の列ができてしまいます。次にこのファイルを読み込む際に、この番号が不要な列として扱われてしまうことがあるので、通常は index=False を付けて保存します。
▶️ tocsvの公式ドキュメントも参考にしてください: pandas DataFrame tocsv Documentation
✅ まとめ
本記事では、Google Colab で Google Drive と連携して CSV ファイルを読み書きする方法を解説しました。
- drive.mount() でGoogle DriveをColabに接続
- import pandas as pd でpandasを使えるようにする
- ファイルパスを調べて、pd.read_csv() でCSVファイルを読み込む
- df.to_csv() で編集したデータをCSVファイルとして保存する
これらの手順を理解しておけば、Colab を使ったデータ分析の幅が大きく広がります。 初めての方はうまくいかない場合もあるかもしれませんが、焦らずひとつずつ試してみてくださいね。継続が一番の上達のコツです。ぜひ、ご自身のデータで試してみてください。
応用例:他のファイル形式の扱い
pandas ライブラリは、CSV 形式だけでなく、Excel(.xlsx, .xls)、JSON、HTML など、様々なファイル形式の読み書きに対応しています。
例えば、Excel ファイルを読み込む場合は pd.readexcel()、Excel ファイルとして保存する場合は DataFrame.toexcel() を使用します。基本的な使い方は pd.readcsv() や DataFrame.tocsv() と似ています。
これらの関数を Google Drive と連携して使用することで、Google Drive 上の様々な形式のファイルを Colab で扱い、処理結果を元の形式や別の形式で保存することが可能になります。
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